2022年の夏、育英短期大学の授業で。おもちゃと絵本、学生さんの「出会い」のために。
育英短期大学の「絵本学」の中に、1コマだけ絵本でない授業があります。街の中で子どもに関する仕事をしている人にホスピタリティーの話しを聞くという「ホスピタリティに学ぶ(人を楽しませるための手法を学ぼう)」の授業の依頼を今年もいただきました。
蝉が「頑張れ!」と鳴き、後押しをしてくれて、私は校門をくぐりました。
今、お店のドアはどこからでも開けます。
おもちゃ屋の空間では毎日、探している人のお話、おもちゃを子どもが使って良かった人のお話。毎日おもちゃと子どもの話が行き交います。
おもちゃと子どもの使う様子をお客様から、おもちゃから教えてもらいます。おもちゃを知り、必要な人(お客様)に、一人ひとりの子どもに合ったおもちゃを紹介しています。
今、MOMOのドアはどこからでも開けます。
今はおもちゃ屋の空間とその想いをインターネット、SNS、Youtubeで届く様にチャレンジしています。
そんな毎日、MOMOのホスピタリティーを授業で伝えに行きました。
「お店やさんの絵本」からはじめました。
絵本「せきたんやのくまさん」のように、私も街の中で必要な人におもちゃを届ける仕事をしています。という想いで授業のはじめに絵本を読みました。
学生さんにおもちゃを知ってもらう。
絵本もおもちゃも人に伝える人は、良く知ることが大切です。「絵本学」で絵本を深く学び、街の中で伝える人になろうとする素敵な若い人にこの日は「おもちゃ」を知ってもらいました。
私の今までの家族との暮らし、子育て、そして今、92才の母の生きる姿を毎日みて、人は生まれてから100年近く脳とその指示で動いてくれる身体一つを使って生きていかなくちゃならないことを当たり前のことですが私は驚いています。100年使う身体の基礎が育つ大切な乳幼児期を感じています。なんにもできない赤ちゃんがたった3年で、立ち上がって、走って、日本語ペラペラになるのですから。
良いおもちゃは乳幼児期に育つ感覚を目覚めさせてくれます。良いおもちゃはなんなのか?どれなのか?なぜなのか?を私はいつも考えています。
「どんなおもちゃが良いおもちゃなの?」
大人は子どもの気持ち目線にならなきゃ。と私は思います。このおもちゃで赤ちゃんが何を見ているのか、聞いているのか。どんな気持ちで遊んでいるか。子どもの行動と使っている時の感覚を大人が知ることは、おもちゃを子どもに用意する理由がわかります。どんな感覚が育まれるかを知ることができます。
おもちゃという道具を通して感覚を育む
どんな感覚?なぜ楽しいの?をこの日の授業で学生さんに2つのおもちゃで体験してもらいました。
〈ご紹介したおもちゃ〉
●メモリーカード(「キーナーメモリー」「ペアカード」)
●「ベビーキューブ」
2つのおもちゃを体験してもらい、大人でもおもちゃで感覚を使って遊ぶ楽しさを知ってもらいました。
学生さん“絵のカルタ”を体験!
●「メモリーカード」
『メモリーカード』は、2枚同じ絵があるカードが数組あるというシンプルなカードのおもちゃです。
小さな子ども用の遊び、大人が楽しいの?と思いますよね。学生さん3人に“絵のカルタ”で遊んでもらいました。なかなかのスピードでカードを取ります。一人の子がたくさん取りました。う〜ん!悔しい!大人も楽しいです!
絵のカルタで育む感覚
判断力、目的の場所を触る運動の感覚を絵のカルタは育みます。もう一つ記憶を使います。店内での子どもの様子を見て記憶で絵カードを取っていると感じます。子どもが見る範囲(視界)は狭いです。出た絵のカードを見てから場にあるカードに視線を変えると、子どもの視線、見ているものは沢山の種類のカードなのです。ですから子どもはさっき見たカードを覚えていて絵を取っています。2才頃の初めてのカルタ遊びは記憶で取っていると思います。このように絵のカルタは様々な感覚を楽しく使い、判断力、運動感覚、記憶、言葉などを育みます。
学生さん“音探し”を体験!
●「ベビーキューブ」
赤ちゃん・1才の積木、同じ音が2つ、同じ色が2つ、同じ色は同じ音。12個の積木「ベビーキューブ」です。
目を閉じて同じ音を1組、探し出してもらいました。学生さんは目を閉じて積木をひとつづつ振りました。「これじゃなーい。」「これじゃなーい。」目を閉じて音色に耳を傾ける。真剣に音探しをてくれました。学生さんもとても楽しそうでした。おもちゃの特徴を知り、ルールを作ることで、感覚(聴覚)を使った遊びを楽しめます。
赤ちゃんも小さな手で積木を振って、振ると音が出ると身体の動きと、音を、自分で発見して楽しんでいます。
大人がおもちゃを用意して、一緒に遊んで、側で見てあげて。子どもの感覚はおもちゃと大人の見守りでゆっくり育まれていきます。
絵本・おもちゃ、学生さんの「出会い」のために。
子どもがなにかと出会う時、実は大人が子どもに出会わせたくて用意しています。年齢で、季節で、動物や自然で、芸術で。
いつでも石炭を街の中でお届けできる「せきたんやのくまさん」のように、学生さんたちも図書館、保育園、幼稚園で、家庭で、街の中で子どもと絵本の出会いのために活躍する日が楽しみです。
そういえば、私の「せきたんやのくまさん」の絵本との出会いは、学生の頃の絵本の授業の先生、松岡享子先生に読んでいただいた日からです。松岡先生、私も街のおもちゃ屋のくまさんになると思いませんでしたよ。
私も学生の皆さんも、出会いはまた出逢いにと、ずっと続いていきます。
講座の依頼で、私は立ち止まることができます。依頼してくださる育英短期大学保育科の小屋先生に感謝いたします。出会いのために私も少しでもお役に立てたら嬉しいです。2022年の夏の立ち止まる時間をありがとうございました。
MOMO 店長 茂木しづ子