こどもが教えてくれたこと。-15年目の使者『ゆめくい小人』-
小さなこどもたちは、なんでも知っている大人よりも、ずっとずっとよく見ています。
私は、知っていると思って知らなかったことを、こどもに気づかせてもらう、教えてもらうことがよくあります。
今日はそんな、こどもに教えてもらったびっくり嬉しかった、ある絵本とCDについてのお話しです。
15年前、スイスのおもちゃ屋さんで。
15年前、今は閉店してしまったスイスのおもちゃの銘店『パストリーニ』で本とCDを買ってきました。
お姫様が眠る表紙の絵本、別の棚に同じ柄のCDもありました。絵本もCD販売もあるこの絵本は名作かもしれないな?と、絵本とCDを両方買って日本に帰りました。
それから15年位経ちました。スイスで買ってきたこのCDは、今でもよくMOMO店内で流しています。ゆっくりとしたこころ落ち着くメロディーです。
「お母さん!すやすや姫だよ!」
ある日のことです。
MOMOに来た男の子が、レジの後ろの棚に飾ってあるCDのジャケットを指さして、お母さんに言いました。
「見て!お母さん!」「ゆめくい小人だよ!」「ほら!見て!お母さん!」
「違うわよ、ゆめくい小人じゃあないよ。ここにあるわけないでしょう。」
「よく見て!お母さん!すやすやひめじゃない?!」
男の子は、棚の上の遠いところに飾ってあるCDを指差して言いました。
お母さんは、近くに寄ってCDの柄をよく見ました。
「本当!ゆめくい小人!」
「ほらお母さん!やっぱり、寝ているのは、すやすや姫だよ!」
「本当!すやすや姫だわ!」
「MOMOさん!ゆめくい小人はお姫様の怖い夢を食べてくれるんだよ!」
絵本『ゆめくいこびと』作者はミヒャエル・エンデ
私も、驚きました。
お姫様が眠っている表紙だけ見てかったこの絵本とCD、なんとミヒャエル・エンデの絵本だったのです。
本を買うだけ、CDを聞くだけで、表紙の字を読まない私が変ですが、15年前に手にした絵本はミヒャエル・エンデの『ゆめくい小人』という絵本でした。
『MOMO』の店名の由来はミヒャエル・エンデの『モモ』。
15年目に知りました。Wの驚きでした。
日本語版で販売されているなんて知りませんでした!すぐに絵本屋フリッツさんに取り寄せてもらいました。
『ゆめくい小人』のお話し、ぐっすり眠ることが一番大事なしごとの国。そんな国で、怖い夢で眠れなくなってしまったお姫様・すやすや姫と、怖い夢を食べてくれる小人の物語。
いつもとちがう視点のストーリー、人の表情、世界の絵。
私は男の子のおかげで、魅力的な絵本『ゆめくい小人』に出会うことができました。
15年前にスイスのおもちゃ屋さんで出会い、MOMOで流れていたCDは、絵本『ゆめくい小人』に合わせて作られたメロディーだったのでした。
こどもはいつもこうやって、いろいろなところをよく見て知っていくのだな。と感心します。大人は知っていると思いこんで、よく見ていないのかもしれませんね。
こどものお話を聞くことで、こどもの行動を見ることで、いろいろなことが繋がります。私には小さなこどもとの関わりの時間がとても大切、と感じる日々です。
こどもが教えてくれた嬉しいことのお話でした。
文:momo 店長 もぎしづこ